人の体を構成している元素たち

 人の体ってどんな元素で構成されているんでしょうね…。生き物だし有機物のかたまりだから大部分が炭素だと思っているという人もいるでしょう。実は違うんです。気になった人は是非最後までご覧下さい!

人体の大部分は酸素!

実は酸素なんですよね、とは言ってももちろん酸素単体が体内にあるわけではなく様々な化合物の一部として存在しています。

以下の表は人体を構成している元素とその割合を示したものです。

元素名原子記号質量割合(新鮮重量)
酸素O65%
炭素C18%
水素H10%
窒素N3%
カルシウムCa1.5%
リンP1%
硫黄S0.25%
カリウムK0.2%
ナトリウムNa0.15%
塩素Cl0.15%
マグネシウムMg0.05%
Fe0.009%

成人の体の約60~65%は水でできています、そりゃ酸素は多いですよね。数としては水素原子のほうが多いですが、酸素原子の質量は水素原子の約16倍あるので、質量だけで言ったら酸素のほうが割合が大きいことがわかりますね。

今度は人間の体から水分を抜いた質量の割合を見てみましょう。この時の重量を乾燥重量といいます。(水分も含まれているのは新鮮重量)

※質量に重力加速度(重力と思って大丈夫です)をかけたものが重量ですが、それぞれの割合は変わりません。

元素名元素記号質量割合(乾燥重量)
炭素C61.7%
窒素N11.0%
酸素O9.3%
水素H5.7%
カルシウムCa5.0%
リンP3.3%
カリウムK1.3%
硫黄S1.0%
塩素Cl0.7%
ナトリウムNa0.7%
マグネシウムMg0.3%

ほぼ人体の6割を占めていた水分を抜くと、酸素と水素の割合が一気に下がりますね。そうなると炭素が圧倒的な割合を占めることになります。

とはいえ、酸素や水素の割合が低いということではなく、脂質やタンパク質にはこれらが含まれているのでほかの元素よりも多くなっているようです。

私たちの体をつくるタンパク質

酸素が多い理由として水を例に挙げましたがこれだけでは物足りないので、タンパク質についてお話ししていこうかなと思います。

アミノ酸について

タンパク質は以下のようなアミノ酸がたくさん結合してできています。

アミノ酸の種類によってRが変化します。(Rは元素記号ではありません)アミノ酸が2つ結合したものをジペプチド、3つ結合したものをトリペプチド・・・と呼びます。2〜50のアミノ酸が結合したものをペプチドと呼び、それ以上結合したものをタンパク質と呼びます。

アミノ酸の結合は以下のように行われ、ーCOOH(カルボキシ基)とーNH2(アミノ基)の脱水縮合により、水分子が一つとれて結合します。

必須アミノ酸と非必須アミノ酸

アミノ酸には体内で合成することのできる非必須アミノ酸と、体内で合成できないため摂取しなくてはならない必須アミノ酸があります。アミノ酸は全部で20種類あり、その内の11種類は非必須アミノ酸で、9種類は必須アミノ酸です。

必須アミノ酸非必須アミノ酸
バリン
ロイシン
イソロイシン
スレオニン 
リシン
メチオニン
フェニルアラニン
トリプトファン
ヒスチジン
グリシン
アラニン
セリン
アスパラギン酸
グルタミン酸
アスパラギン
グルタミン
アルギニン
システイン
チロシン
プロリン

余談ですが、髪の毛にはケラチンというタンパク質が主成分となってできているわけですが、ケラチンは18種類のアミノ酸が結合してできたタンパク質で、ほとんどのアミノ酸が使われています。髪だけでもアミノ酸がこんなに使われているなんて、栄養をとることの重要さが分かりますね。ちなみに、ケラチンには硫黄の成分が含まれているので燃やしたら嫌な匂いがするそうです。