[高校化学]2族、アルカリ土類金属

目次

2族元素の性質

2族元素

 2族元素は、自然界で単体では存在せず、化合物の形で存在します。2族ということもあり、原子は2個の価電子を持つため、2価の陽イオンになりやすいです。ここで一旦、2族元素の性質をまとめてみます。

  • 銀白色の金属
  • アルカリ金属に比べて金属結合が強い
  • 融点が高く、密度も大きい

アルカリ土類金属

また、2族元素のうち、Ca(カルシウム), Sr(ストロンチウム), Ba(バリウム), Ra(ラジウム)はアルカリ土類金属と呼ばれ、性質が似ています。同じようにアルカリ土類金属に性質についてまとめてみたいと思います。

  • アルカリ金属に反応性は似ているが、アルカリ金属よりも穏やか
  • 単体の反応性は、Ca<Sr<Baの順に大きくなる
  • 常温の水と反応して水素を発生し、強塩基性の水酸化物になる

単体のカルシウムと水の反応式は以下のようになります。

Ca  2H₂O      Ca(OH)2  H₂

Be(ベリリウム)Mg(マグネシウム)Ca(カルシウム)Sr(ストロンチウム)Ba(バリウム)
密度(g/cm³)1.851.741.552.543.59
融点(℃)1282649839769729
炎色反応橙赤黄緑

マグネシウムの性質

 マグネシウムはアルカリ土類金属ではないので、それらの金属とは異なる性質を示します。マグネシウムは常温の水とはほとんど反応せず、熱水には徐々に反応し、水素を発生させます。

Mg  2H₂O      Mg(OH)2  H₂

ここで生成する水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)は水にほとんど溶けず、弱塩基性を示します。

カルシウム化合物

酸化カルシウム(CaO)

 酸化カルシウムは生石灰と呼ばれる白色固体で、水と反応して消石灰と呼ばれる水酸化カルシウム(Ca(OH)2)を生成します。また、この反応は発熱反応なので多量の熱を生じます。

CaO  H₂O      Ca(OH)2  

また、酸化カルシウムは塩基性酸化物なので、酸と反応します。以下に、酸化カルシウムと塩酸の反応式を示します。

CaO  2HCl      CaCl2  H₂O

酸化カルシウムの製法としては、炭酸カルシウムの熱分解によって作られます。

   CaCO3        CaO  CO2

酸化カルシウムはコークス(C)とも反応し、炭化カルシウムと一酸化炭素を発生させます。

CaO  3C      CaC2  CO

水酸化カルシウム(Ca(OH)₂)

 前述でも話したように、水酸化カルシウムは消石灰と呼ばれ、消石灰の飽和水溶液を石灰水と呼びます。石灰水といえば大抵思い浮かぶのは二酸化炭素の確認方法だと思います。石灰水は二酸化炭素を通じると白く濁ります。これは、水酸化カルシウムと二酸化炭素の反応により、炭酸カルシウムが発生し、沈殿するためです。

 Ca(OH)2  CO2      CaCO3  H₂O

しかしここで意外なのが、白く濁った石灰石に二酸化炭素を通じ続けると、白い濁りが消えるということです。沈殿した炭酸カルシウムは水と二酸化炭素と反応し、水に可溶炭酸水素カルシウムを生じるためです。

 CaCO3  H₂O  CO2      Ca(HCO3 )2  

また、炭酸水素カルシウムを加熱することによって、炭酸カルシウム、水、二酸化炭素が生じ、上記の反応式と逆の反応を起こすことができます。

   Ca(HCO3 )2        CaCO3  H₂O  CO2

水酸化カルシウムの製法としては、酸化カルシウムの説明でも話したように、酸化カルシウムと水の反応によって作られます。

CaO    H₂O      Ca(OH)2  

炭酸カルシウム(CaCO3)

炭酸カルシウムは石灰岩、大理石、貝殻の主成分として天然に存在しています。二酸化炭素を含んだ水が石灰岩を侵食することで鍾乳洞を作ることは有名ですね。また、侵食したことによって生じる炭酸水素カルシウムを含んだ水溶液が蒸発することによって、炭酸カルシウムが析出し、鍾乳石や石筍が形成されます。

炭酸カルシウムの熱分解反応や、二酸化炭素との反応は前述で示した通りなので省きます。炭酸カルシウムのもう一つの反応として、強酸を加えると二酸化炭素を発生させるということです。塩酸との反応を例として、反応式は以下に示します。

 CaCO3  2HCl      CaCl2  H₂O  CO2

硫酸カルシウム(CaSO4)

硫酸カルシウムは、天然ではセッコウと呼ばれる硫酸カルシウム二水和物(セッコウ4・2H2O)として存在しています。これを140℃で加熱すると、水和物の一部を失い、硫酸カルシウム半水和物(CaSO4・1/2H2O)の焼きセッコウが生成します。焼きセッコウは白色の粉末ですが、水と混合することによってセッコウに戻り硬化します。この性質を利用して建築材料やセッコウ像などに利用されています。

塩化カルシウム(CaCl2)

炭酸カルシウムと塩酸の反応によって得られる塩化カルシウムですが、水によく溶け、吸湿性、潮解性が強いという性質を持っています。無水物は、乾燥材や融雪剤などに利用されています。