自由落下する物体の運動
分からなかったらこの記事から見てみるといいかも
目次
重力加速度とは
物体を上から落とすときに、落下するにつれて物体の落ちるスピードはどんどん上がっていきますよね。これは星の重力によるもので、重力によって落ちる物体の加速度を表したものを重力加速度と言います。重力加速度の単位は加速度の単位と同じでm/s²と表され、を用いて書かれることがほとんどです。
地球の重力加速度の数値は以下のようになります。
とはいえこの数値をそのまま使うわけではなく、大体は9.8を重力加速度の数値として使っています。重力加速度の大きさは星によって違い、例えば月の重力加速度は地球の重力加速度の約6分の1になっています。
自由落下する物体の移動距離
自由落下と言っても等加速度運動に使っていた式が、加速度から重力加速度に置き換わっているだけなので、自由落下中の速度や移動距離を求め方は等加速度運動の時と何ら変わりはありません。
そういうわけで、自由落下中の速度と移動距離の公式を見ていきましょう。
自由落下中の速度(初速度は0)
自由落下中の移動距離(初速度は0)
ちょっとした用語について
鉛直
重力が働く方向を鉛直方向といい、鉛直下向きに物体を投げることを鉛直投げ下ろし、鉛直上向きに物体を投げることを鉛直投げ上げといいます。
斜方投射、水平投射
物体を斜めに打ち出すことを斜方投射、水平に打ち出すことを水平投射といいます。
終端速度
実際の重力加速度によって加速する物体は、自由落下している最中ずっと加速しているわけではなく、空気抵抗を受けるため、空気抵抗によって減少する速度と重力加速度によって増加する速度が釣り合ったとき、物体は一定の速度で落下します。この時の速度を終端速度といいます。高校物理では空気抵抗は大抵考えないので特に気にすることはないと思いますが、こういうものがあるのだと知識として覚えてみてください。
自由落下を使った練習問題
問題1 ある地点Aから初速度5m/sで真下に投げ出された小球がある。5秒後の小球の速度を求めよ。ただし、重力加速度は9.8m/s²とする。
問題2 5秒後の地点Aから小球までの距離を求めよ。
※少しの空白のスペースの後、回答と解説が提示されます。
解説1 まず、重力加速度によってどれだけ速度が上がるのか求めていきましょう。自由落下から5秒経過しているため、式1のtに5を代入すると、重力加速度が9.8m/s²なので、9.8×5で49m/sになります。もともと初速が5m/sなので、足して答えは「54m/s」になります。
解説2 距離を求めるときに、安易に問題1の答えに5秒をかけてはいけません。54m/sは加速度によって求められたもので、5秒間54m/sで一定ではないですからね。そういうときのために式2があるわけなんですが、今回は初速度も考えなければなりません。といってもそんなに難しくはなく、初速と加速度によって得られた速度を別々に計算します。
式3のように初速度は等速直線運動のように取り扱い、加速度による変位と足し合わせます。そんなかんじで式3にそれぞれ数値を代入し計算すると答えは「147.5m」になります。