摩擦力について詳しく解説

ほかの記事で少しだけ摩擦力について説明しましたが、今回はもう少し詳しく説明していこうと思います。

目次

垂直抗力とは?

 摩擦力を計算するうえで垂直抗力はとても重要なものなので、先に垂直抗力の説明からしていきたいと思います。

図1

 物体は重力によってmgの力を鉛直方向に受けています。ただ、この力しか物体に働いていなかったら物体は床も地面も突き破っているわけなんです。あまりピンと来ないかもしれませんが、物体は地面から受ける力により重力とつり合い、静止することができます。この地面から受ける力を垂直抗力といい、常に地面に垂直の方向に働き、Nで表されます。図1の場合では重力の分だけ垂直抗力が発生するのでmg=Nが成り立ちます。

摩擦力の求め方

 摩擦力には静止摩擦力動摩擦力の二つがあり、それらは以下のように求められます。

式1
式2

 動摩擦力はいつも一定ですが、静止摩擦力は物体の水平方向の力と等しい力だけ働き、水平方向の力が最大摩擦力を越えた時、物体は動くことができます。摩擦係数というのは地面がザラザラしてたりツルツルしてたり、地面の性質で摩擦力が変わってくるので、その性質が摩擦力にどれだけ影響を与えているのかを表しています。また、静止摩擦係数と動摩擦係数は以下のような関係があります。

式3

 どんな素材であれ、静止摩擦係数の値は動摩擦係数の値より必ず大きくなります。物体は動いている間なら、物体に働く水平方向の力が静止摩擦力の最大値を下回っても動き続ける場合があることに注意してください。

 上でも話したように、平面上ではmg=Nが成り立つので、垂直抗力の値はmgとわかるんですが、これはあくまで平面上の話で、次は斜面に置かれてある場合の垂直抗力について説明していきます。

斜面に置かれた物体の摩擦力

 斜面に置かれた物体に働く力は以下の図2のようになっています。

図2

 物体には相変わらずmgの力が働いていますが、感覚的にもわかるように、その力の一部は斜面を下る力に使われているので、その分垂直抗力は小さくなります。その力がどの程度なのかは斜面の角度を使った三角関数で求めていきます。詳しい求め方は以下の記事をご覧ください。

力の合成と分解

 力の合成と分解は、物体の挙動を分かりやすくするために非常に重要なことなので覚えておきましょう。 目次 力の足し算と引き算 力の矢印を合成する 力の矢印を分解 力の…

 というわけで、物体が斜面に加える力が𝑚𝑔𝑐𝑜𝑠𝜃 とわかり、それによって垂直抗力も𝑚𝑔𝑐𝑜𝑠𝜃 と求めることができ、そうして求めた値を式1や式2に代入して摩擦力を求めていきます。斜面を下る力が静止摩擦力を越えた時に物体は滑り落ちることができます。