ニュートンの運動の3法則ってなに?

目次

3つの法則について

 ニュートンの運動の3法則は、慣性の法則運動方程式作用反作用の法則から成り立っており、慣性の法則を運動の第一法則、運動方程式を運動の第二法則、作用反作用の法則を運動の第三法則といわれています。以下では第一法則から順に解説していきます。

慣性の法則

「物体が外部から力を受けないとき、もしくは外部から受ける力の合力が0のとき等速直線運動し続ける。」

一言で説明するとこんな感じですが、少々わかりにくい部分があると思うので具体例を交えてもう少し詳しく説明していきたいと思います。

 力を受けない状況というのは稀で、地上には重力があるためどんな物体も力を受けてしまいます。そのような状況が起こりえるのは空気もなく、重力もない宇宙空間だけです。宇宙空間でボールを投げたらそのボールは空気抵抗や重力による影響を受けないため、何かにぶつからない限りずっと同じスピードで進み続けます。もちろんその場で静止させても何かがぶつかってこない限りボールはその場に留まっているでしょう。

 もう一つの外部から受ける力の合力が0の状況こそ我々にとっては日常的で、机の上に置いてあるマウスや本などは一見力が加えられていないように見えて、実は重力と垂直抗力のつり合いによって合力が0のため静止しているだけであって物体には力が加えられています。それ故に、その物体に何も手を加えなければ速度0の等速直線運動をすることになります。また、もともと速度を持っている物体についての具体例ではバス中での状況などが挙げられます。ある一定の速度で走行しているバスの中に吊皮を持って立っていて、そのバスがブレーキを踏んだとき前に倒れそうになりますよね。人も含め、物体には等速直線運動をし続ける慣性の法則があるため、バスが減速したとしても人はもともとの速度で動こうとするので前のめりになってしまうということです。

 少し長文になってしまいましたが、慣性の法則に関する説明は以上で終わりです。

運動方程式

 運動方程式については他の記事でも説明しましたが改めて説明していこうと思います。まず、運動方程式とはどういう式なのか見ていきましょう。

式1

 物体に加える力が大きいほど物体の加速度が上がり、物体が重いほど加速度が小さくなるといった、割と身近な感覚に沿った単純な式だと思います。運動方程式の前身となった運動の法則というものがあり、それは下の式2のようなもので、1Nの定義がまだできていなかった頃の式です。参考書によってはこちらを運動の第二法則としているところもあります。

式2

 この式のkの値を1になるように定めることで、1Nの定義を質量1kgの物体に1m/s²の加速度を生じさせるための力とし、運動方程式が完成しました。

作用反作用の法則

 突然ですが、手で強く壁を叩いたら手が痛くなりますよね?それは自分が壁に力を与えていると同時に、壁も自分の手に力を与えていることを示しています。その時の二つの力のうちの一方を作用、もう一方を反作用といいます。

図1

 このことは垂直抗力や、ばねを引っ張った時(ばねを引っ張った分、自分も引っ張られる)の話にも使え、これら二つの力は同じ作用線上で互いに逆向きに、力の大きさは等しく働きます。

垂直抗力についてはこちらに記事から

摩擦力について詳しく解説

ほかの記事で少しだけ摩擦力について説明しましたが、今回はもう少し詳しく説明していこうと思います

 作用反作用の法則と力のつり合いはぱっと見た感じ同じように見えますが、ちゃんと違いがあります。図1を例に説明すると、図1の中で同じ色をしている二つの矢印は作用反作用の法則の関係にあることを示しています。また、上の記事で重力と垂直抗力で力がつりあっていると説明しましたが、つりあっているということは物体に働く力の合力が0であるということを示していて、それらの矢印は同じ物質に働いていることが分かります。比べて作用反作用の関係にある二つの矢印はそれぞれ別の物質に働いています。そのため、作用反作用が起きても必ず力がつりあい、物体が静止するわけではないことに注意してください。